文化の日だから哲学者を格付けしてみた 
Tuesday, November 3, 2015, 02:19 PM
11/3 晴 10時 浅草での空間線量は28ベクレル/立法メートル

先日の土曜日の日曜版に「読んだが(理解に)挫折した哲学者」というくだらないランキングが載っていました。記事自体はつまらないし読むだけ無駄なので斬り捨てます。

私も『哲学用語図鑑』(プレジデント社)を買っているので、それを参考にしながら、ここに載っている哲学者を

進歩的か理想論者という独断で区分けしてみました



私が偉大と思う進歩的な哲学者(科学者)

1位:フリードリッヒ・ニーチェ(独1844-1900)/アルトゥール・ショーペンハウアー(独1788-1860)
ショーペンハウアーは人間は存在すること(生きるということ)だけに意味を見いだすので、何世代人類が続いても絶対神に近づくことはない。
それを引き継いだニーチェは永劫回帰という輪廻転生に近い概念で、人間の価値はぐるぐると同じところを巡るだけと唱えた。


2位:ブレーズ・パスカル(仏1623-1662)
ご存じフランスの天才科学者、神は「無」をつくらないという概念を打ち崩した


3位:ルネ・デカルト(仏1596-1650)
物質と意識は別であり、主観と客観という二元論を提起した。その集大成が我々の知っている座標軸の概念です。


4位:アリストテレス(アテネBC384-322)
プラトンの弟子でありながら、現実世界に絶対的なひな形などは存在しないと、プラトン論を否定した。


5位:モンテニュー(仏1533-1592)
キリスト教による海外侵略を批判し反対した。


理想を唱えるカルト宗教家に近い哲学者

1位:ジャンジャック・ルソー(英1712-1778)/シャルルルイ・ド・モンテスキュー(仏1533-1592)
モンテスキューはキリスト教法皇と王族が支配する封建社会よりも、人民が正しいという思想運動を始め、それをルソーが引き継ぎ、共同体が正しい判断をする(という仮定ので、権力は人民にあるという)啓蒙思想を展開した。やがてイギリスでは名誉革命が、フランスでも革命が勃発した。とりあえず既存体制を壊せば少しは良くなるという全く楽天的な思想


2位:アダム・スミス(英1823-1790)/カール・マルクス(独1818-1883)
ユダヤ教的な信条”レッセフェール”(英語ではlet us free)という自由商業を唱えた。それに対してマルクスの資本論自体は、資本が富を産むメカニズムをわかりやすく説明した反ユダヤ主義の本に過ぎないが、工業社会による物質供給が行き渡れば<すべての人々(人類)>が一段と良い生活ができると無学な貧乏人を焚きつけたことが私は問題だと思います。


3位:ジャンポール・サルトル(仏1905-1980)/シモーヌド・ボーヴォワール(仏1908-1986)
いまでもフランスやヨーロッパに蔓延する怨念的な思想です。
ボーヴォワールは過激なジェンダーフリーを、サルトルは自分が願えば何でもなれる(が誰も何も行動しない)という中二病(青年誌にあるような夢想)を進歩的な考えのように押しつけて、いまだにバカが騙され続けています。


4位:ジグムント・フロイト(オーストリア1856-1939)
人の深層心理という誰も存在さえ証明していないことを、さもあるかのように主張したオカルト宗教を広めた。血液型占いと同じく有害無益な寝言。精神医学というキチガイがキチガイを診るデタラメ産業の創設者


5位:プラトン(アテネBC427-347)、ゲオルク・ヘーゲル(独1770-1831)
プラトンは絶対神が人間をつくり、善や美までも究極のひな形が存在すると考えた。これが中世1500年当たりまでヨーロッパを支配してきました。ヘーゲルもプラトン主義の延長として、人類は絶対精神にむけて進歩すると唱えました。

こうしてみると、プラトン主義は宗教思想と科学思想を同一化している弊害ばかりが目立つ欠陥思想だと思います。


過去ログ:ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 適菜収著
そして再び「無」の探求が始まった
異端の数 ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (2)
異端の数 ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念(1)
「ゼロ」が怖いよ、怖いよ~ひぃぃ (数論は神学論争なのである)
ローマ法皇は<邪教に支配されているのだ>と命がけで上奏したのがルター
変質したリベラリズムとパノプティコン化する国家
人類のアセンションはウィルスによってもたらされる
幕臣開国派にも幕府解体を目指す派閥と幕府存続で近代化を目指す派閥がいた


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ロイター(reuters)による「悪魔の辞典」金融版 
Monday, November 2, 2015, 02:13 PM
11/2 雨 10時 浅草での空間線量は25ベクレル/立法メートル

寒い寒い、昨日の快晴が嘘のような寒さです。

ロイター(reuters)のWebに面白いコラムが載っていたので、紹介します。

http://jp.reuters.com/article/2015/11/02/column-financial-devils-dictionary-idJPKCN0SR07J20151102
Column | 2015年 11月 2日 13:15 JST
コラム:現代版「悪魔の金融辞典」パート1


[16日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米国の作家アンブローズ・ビアスは、著書「悪魔の辞典」(1911年)の中で、政府から商業、人生全般に至るまで辛口な定義を示した。
ビアスは金融に関する知見も深く、例えば、「富」は「1人の手に握られる多くの人の蓄え」と定義してみせた。
ロイターBreakingviewsは世界金融危機が発生する以前の2007年、ビアスの「悪魔の辞典」に倣い、その金融版を発表した。だが危機後の現在において、もはやそれは適切でないように思える。そこで以下にその改訂版、金融危機後の「悪魔の金融辞典」を抜粋したパート1を紹介する。

<A>

Analyst :アナリスト。株を大いに宣伝する人。その目的は委託手数料を稼ぐこと。

Asset price bubble :資産価格バブル。米連邦準備理事会(FRB)の緩和策がもたらした最も顕著な結果。

Austerity :緊縮財政。「サド的財政主義」としても知られる。国家破綻を回避しようとするむなしい試み。

<B>

Bank :銀行。レバレッジの積み上げや、資産と負債のミスマッチで短期的利益と長期的損失を生む機関。

Bankrupt :破綻者。流動性を使い果たした人。近代経済学の知的状態でもある。

Behavioural finance :行動ファイナンス。資産価格バブルの原因が、ひどい金融政策の避けられない結果やウォール街の利害対立にあるというよりも、むしろ「根拠なき熱狂」にあるとの考えに基づく学問。Greenspanを参照。

Bernanke, Ben :ベン・バーナンキ。前FRB議長。住宅バブルの崩壊前にその発生を発見できず、2007年にサブプライムローン問題は「封じ込め」られたと主張した。リーマン・ショック後は、グリーンスパン元FRB議長のスーパーバブルを再び膨らませることに成功。FRB議長を退任後間もなくして、ヘッジファンド大手シタデルに職を得たが、市場に関する洞察力を買われてのことでは恐らくないだろう。Revolving doorを参照。

Black swan:ブラックスワン。ウォール街によくいる鳥。太い尾っぽ(ファットテール)で有名。

BRIC:ブリック。「Bloody Ridiculous Investment Concept(ひどくばかげた投資概念」(ファンドマネジャーのピーター・タスカ)の略。著しく発展する新興国市場のブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字から、ゴールドマン・サックスの元エコノミスト、ジム・オニールが考案した造語。

Business school:ビジネススクール。若者が大枚をはたいて罪の意識を取り除くネットワーク作りの場。

Buyback:買い戻し。1株当たり利益(EPS)を高めるため、借金して自社株買いをすること。最高経営責任者のストックオプションの価値を最大化する方法。

<C>

Capital controls:資本規制。グローバル・キャリートレードを回避しようとする無駄な試み。中国では、マカオのカジノや「偽装輸出」、オフショア人民元建ての借り入れ、スーツケースに現金を詰めて海外に運ぶという昔ながらの方法で資本規制は回避されている。

Capital flight:資本逃避。グローバル・キャリートレード最後の行動。現在、中国で進行中。

Career risk:キャリアリスク。ファンドマネジャーが、資産価格バブルへの加担を拒否したり、トラッキングエラーをほのめかす以上の行動によって、解雇されるのがほぼ必然であること。

Chief executive officer:最高経営責任者(CEO)。自分の利益のために自身が運営する会社によって生み出される、いかなる剰余価値も搾り取る経営者。

China dream:中国の夢。中国の国民全員に歯ブラシを売るという昔からの事業構想。最近までは株価押し上げに役立つ方法だった。今ではウォール街「最大の悪夢」となっている。

Chinese economic growth:中国経済成長。「不安定、不均衡、非協調、そして持続不可能」(2007年、当時の温家宝・中国首相)

Chinese GDP:中国の国内総生産(GDP)。「人為的な」数字(2007年、李克強・現首相)

Chinese public debt:中国の公的債務。地方政府系投資機関やアセットマネジメント会社、政策銀行などにおいて、大半がバランスシートには表れない、実際より大いに控え目に計上された中国の負債。

Chinese real estate:中国の不動産。同国2級都市の郊外に急造されたゴーストマンション群。中国の破綻した信用取引制度で担保とされている。

Client:クライアント。Muppetを参照。

Corporate governance:コーポレートガバナンス(企業統治)。経営陣が株主を代表して働いているという作り話を維持するよう意図された一連の規則。

<D>

Default:デフォルト。「債務者が債権者をだます完全な手口」(1933年、マックス・ヴィンクラー)。Greeceを参照。

Deflation:デフレーション。生産性向上と世界貿易の拡大で物価が緩やかに下落すること。FRBによる緩和策の結果である負債デフレーションと混同しないこと。

Derivatives:デリバティブ。投資会社バークシャー・ハザウェイを率いる米著名投資家ウォーレン・バフェットはかつて「金融の大量破壊兵器」と定義したが、自身も手を出さずにはいられなかった。

Dollar:ドル。FRBのバランスシート上で変身を遂げた価値のない代用貨幣。世界中に大混乱を引き起こしている低い米金利をもたらした国際金融制度の基軸。

Dot-com 2.0:ドットコム2.0。ITバブルの第2弾。

<E>

Earnings per share:1株当たり利益(EPS)。四半期ごとに発表される企業業績を計算する方法の1つだが、真の利益性についてはほとんど語らず、簡単に操作できる。役員報酬制度のターゲットとしてしばしば設定される。

Economist:エコノミスト。世界金融危機を予測できなかった人。大抵は普通の数学者で、金融の理解に乏しい。Bernanke, Benを参照。

Emerging markets:新興国市場。共通点がほとんどない比較的貧しい国々で、経済政策の失敗、広範囲に及ぶ汚職、法の支配の欠如という歴史を守っている。BRICを参照。

European Central Bank:欧州中央銀行(ECB)。支払い能力のないユーロ圏メンバーに無限に融資することで圏内団結をはかろうとする機関。

Euro zone:ユーロ圏。欧州の「永続的な」通貨統合。負債デフレーションや経済の硬化、国家破綻を引き起こすような破滅をもたらす凶器。

Evergreening:エバーグリーニング。損失計上を避け、ゾンビ企業を支援するために銀行の不良債権の処理を先延ばしにする慣行。1990年代初めに日本が発明したが、最近では中国やユーロ圏も採用している。


http://jp.reuters.com/article/2015/11/02/column-financial-devils-dictionary-part-idJPKCN0SR08920151102
Column | 2015年 11月 2日 13:15 JST
コラム:現代版「悪魔の金融辞典」パート2



[16日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米国の作家アンブローズ・ビアスは、著書「悪魔の辞典」(1911年)の中で、政府から商業、人生全般に至るまで辛口な定義を示した。
ビアスは金融に関する知見も深く、例えば、「富」は「1人の手に握られる多くの人の蓄え」と定義してみせた。
ロイターBreakingviewsは世界金融危機が発生する以前の2007年、ビアスの「悪魔の辞典」に倣い、その金融版を発表した。だが危機後の現在において、もはやそれは適切でないように思える。そこで以下にその改訂版、金融危機後の「悪魔の金融辞典」から抜粋したパート2を紹介する。

<F>

Financial innovation:金融革新。ウォール街が考え付いた、手数料を取ったり、リスクを隠したり、規制を逃れたりする新たな方法。

Flash Crash:フラッシュ・クラッシュ。超高速取引を行うトレーダーのせいで2010年5月に起きた米国株の瞬間暴落のこと。この件で当局は、思いもよらない身代わりを英ハウンズローで見つけた。

Forecast:予測。取引を増やそうとするブローカーや破綻を隠そうとする年金運用機関によってつくり出される、常に楽観的で、不正確な予想。

Fund management:資金運用。「スキルの錯覚」の上に成り立つ業界(ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマン)。投資の世界で運とスキルが区別できるようになるには数十年を要するが、成功しているファンドマネジャーは自分のスキルを信じたいようだ。

<G>

Global carry trade:グローバル・キャリートレード。安いドルで世界の金融システムが氾濫すること。通常、米国の利上げで突然止まり、新興国市場の危機が訪れることになる。

Global financial crisis:世界金融危機。FRBが救済の手を差し伸べるまで、ウォール街の円滑な手数料集金マシンを停止の脅威にさらしたイベント。

Goldman Sachs:ゴールドマン・サックス。「人間の顔をした巨大な吸血イカ」(米ジャーナリストのマット・タイビ)。利害の対立を「扱う」ことを専門とするウォール街の企業。

Greece:ギリシャ。独立以降、時間の半分をデフォルトに費やしている国。ゴールドマン・サックスから、バランスシートに記載されない財政的アドバイスを受けた後、ユーロ圏への加盟資格を得た。

Greenspan put:グリーンスパン・プット。資産価格バブルの崩壊を防ごうとFRBが取った金融政策。さらに大きなバブルの原因にもなる。

<H>

Hot money:ホットマネー。グローバル・キャリートレードの資金として使われる短期債務。問題発生の前兆で逃げ出す。

<I>

Initial public offering:新規株式公開(IPO)。内部者にとっては、割高株を外部者に売る機会。ウォール街にとっては、法外な手数料を搾り取ったり、市場を操作したり、利を施す機会。

Interest:利子。遠い昔にわれわれの祖先が享受していた、貯金で得られる恩恵。

<K>

Keynesians:ケインジアン。「天の声を聴き、過去の学者の悪文から錯乱した考えを引き出している」(ジョン・メイナード・ケインズ)エコノミスト。

<L>

Lender of last resort:最後の貸し手。中央銀行の伝統的役割であり、市場のパニック時に資金を供給する。元々は質の高い担保に対し、処罰的な金利での貸し付けに限られていたが、最近では不良資産でも利子を補給して貸し出している。

Libor scandal:ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)スキャンダル。銀行幹部のボーナスを稼ぐため、トレーダーらが短期金利を不正に操作した事件。同じく銀行幹部のボーナスを稼ぐために、中央銀行が行う合法的な金利操作と混同しないように。

Liquidity:流動性。金融危機以降、FRBによって要望に応じて供給されるウォール街の酸素。

<M>

MBA:経営学修士号。倫理もビジネスセンスもない人のこと。Business schoolを参照。

Mergers and acquisitions:M&A(合併・買収)。報酬が自社の売り上げと時価総額に関係するCEOが行う。借り入れでまかなうM&Aは、1株当たり利益(EPS)を高めるための常套手段となっている。

Moral hazard:モラルハザード。FRBの政策で培われた「どう転んでも損はしない」というウォール街の考え方。

Muppet:マペット。操り人形。Clientを参照。

<O>

Off balance sheet:オフバランスシート。隠された真実。

<P>

Pension plan:年金制度。不十分な資金と非現実的なリターンを前提に運営されている、企業による支払われることのない約束。

People’s quantitative easing, or PQE:国民のための量的緩和(PQE)。財政支出のために紙幣を印刷すること。アフリカ中で長い間行われてきた。最近、英国で「進歩的な」政策として提案された。QEを参照。

Ponzi scheme:ねずみ講。米国から中国に至るまで、経済活動を持続させ、上がる一方の債務レベルを正当化するために、資産価格を上昇させ続ける必要のある現代資本主義の活動。

Profit:利益。現在は、米国最大の製造業となっている。

<Q>

QE:量的緩和。米国のデフレ対策と経済成長促進のため、FRBが新たに発行した紙幣で債券を購入したのが一例。実際には、資産価格バブルやコモディティーへの過剰投資、そして新興国市場の信用バブルを生み出す結果となっており、現在進行中の新興国バブル崩壊は世界的なデフレと世界経済成長の低下をもたらしている。

<R>

Retail investor:個人投資家。立派なマペットになれるほど裕福ではないため、高い手数料を支払っている、ウォール街の部外者。

Revolving door:回転ドア。元政府当局者がウォール街からもうかる仕事を提供され、「くら替え」すること(ルービン元米財務長官はシティグループ、グリーンスパン元FRB議長は米ヘッジファンドのポールソン&カンパニー、バーナンキ前FRB議長はシタデル)。日本では「天下り」として知られる。

<S>

Scapegoat:スケープゴート(身代わり)。自分の無責任さはさておき、 国民や政治家が世界金融危機の起きた責任をなすりつけられる相手や事柄。

Securities and Exchange Commission:証券取引委員会(SEC)。好景気のときは眠っているが、不況になったら小物まで起訴する米国の金融規制当局。

State-owned enterprise:国有企業。資金が政策に誤用され、残りは当局の懐に入れられる新興国市場の企業。

Swiss watches:スイス時計。新興国市場で汚職の通貨として使われる。

<T>

Too big to fail:大き過ぎてつぶせない。国家に救済されると分かっている巨大銀行は無責任に行動するという概念。実際のところ、銀行破綻は多くの小規模行がしのぎを削っているところで発生する可能性が高い。

<V>

Value investor:値ごろ株投資家。将来が過去と似たような状況になるというむなしい期待をもって株を購入する昔ながらの投資家。

Volatility:ボラティリティー。現代の金融理論で、市場の変動は、いわば資金が永久に失われる可能性という真のリスクに等しいという誤った考え方。

Volcker, Paul:ポール・ボルカー。ウォール街の異端者から崇拝される元FRB議長。

<W>

Wall Street economist:ウォール街のエコノミスト。「見ざる、聞かざる、言わざる」を原則とする、経済分析の仕事に応募した人。

Whale:クジラ。2012年にデリバティブで60億ドルを超える巨額損失を出した米銀行大手JPモルガン・チェース、ロンドン支店のトレーダー。同行のジェームズ・ダイモンCEOは当初、「空騒ぎ」と一蹴した。

<Y>

Yield curve:イールドカーブ(利回り曲線)。長期金利と短期金利の差。景気が低迷するたびにFRBはイールドカーブの傾斜がきつくなるよう(スティープ化)操作する。銀行を助けるだけでなく、否応なく次の危機につながるグローバル・キャリートレードを引き付ける。

<Z>

Zaitech:財テク。 金融工学を意味する日本語で、やり過ぎると企業のゾンビ化を招く。

ZIRP:ゼロ金利政策。長期間やり過ぎると国の経済全体がゾンビ化する。

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ハローウィンはこれからの新しい東京の祭である 
Monday, November 2, 2015, 04:35 AM
一昨日は地下鉄に乗って友人の夫婦と食事をしました。地下鉄にはコスチューム姿が大勢見受けられます。
緑色やオレンジ色、アフロヘアのカツラ姿、スーパーマリオにミニスカポリス、血みどろナースやアニメキャラクターと車内にもホームにもわんさかわんさか。

ひとりだったら恥ずかしいですが、多数がそうだったら逆に普通の姿のほうが気恥ずかしいくらいです。

大の大人が街中で理由もなく仮装しているなんて子供じみた行為だと当初は思っていました。ところが

ハローウィンはモノトーンな都心でこそ映える



誰だってヘンな格好して人目に晒されたくないと思うわけです。特に思春期あたりならそうでしょうし、会社勤めならスーツにネクタイはあたりまえ。もしくは支給の作業着でしょう。

他人と違う格好をして誉められるのはデザイナーや服飾関係などごく一部の職業です。
20年前に東京に転勤して、まず驚いたのは街行く人の服装が真っ黒であったことと、青山のブティック街では女性はみんなモデルさんのように見えました。

似合わないブラウンの安物スーツの自分が周囲から浮いているようでとても気恥ずかしくなりました。
バブル末期はけっこう明るい色が流行っていたのに、あっというまに黒一色です。

今でも霞ヶ関やオフィス街はダークスーツばかりで色覚が消えうせたかのような風景です。

そんなビル街に赤や緑など色とりどりが映えるのはとても新鮮に見えます。

小さな非日常性は大切なことである



年齢を重ねるごとに、変化を拒むのは誰でもあること。
もしくは没個性こそ自分のスタイルと思い込んでいるのかもしれません。
とくに人口密集度が高いと、他人との違いや奇抜さは、そのまま自身の評判になりますから、無意識な防衛意識が働くのでしょう。

ホテルのロビーで会った友人夫婦が私を見つけていった一言
「あれっ、六城ってこんな格好するの!?」

せっかくのレストランでの御呼ばれだから、ジャケットとタイにしようかと思いましたが、ちょっと尖がった姿(コンバットベレー帽にライダージャケットにブーツ)にしました。ご夫婦は見慣れたジーンズか綿パンと綿シャツで来るだろうと思っていたそうです。

娘さんはゾンビナース姿で渋谷に繰り出して行ってしまったらしく、友人夫婦と夜景を楽しみながら食事をしました。

ちなみに旦那のほうは、趣味がバレーダンスで、迷惑なことにたまに白いタイツ姿で踊る舞台姿を送りつけてきます。こっちのほうがよっぽどのホラーですね。

ファッションは他者へのエンターテイメントでもある



六本木を通る地下鉄日比谷線の終電で帰宅しましたが、にこやかなコスチューム姿で満員でした。
みんなニコニコ。

外国人の姿も多く見られます。

この日だけは停車するたびにホームを眺めることと、どんなのが乗り込んでくるかと飽きることがありません。
そして殺伐とした地下鉄車内が雰囲気が和んでいるのです。

こうしてみると、ハローウィンは悪い習慣ではないなと思いますし、この日だけは服装をちょっと変えてみるのも非日常です。
髪型や色を変えてみたり、カラーコンタクトを入れてみるとか小さな変化をつけるだけでも良いのではないでしょうか。

私の田舎はだんじり祭りですが、その週だけは高校生のときは教師たちが紫や金髪でした。パーマに茶髪解禁つうか、地元の怖い体育教師に弾け方が足りんとわけのわからない説教までされました。(普段は真面目な学校なのです)

一番真面目で学生服と寝巻きしか着ない奴が、パンチパーマで登校したらなぜか壇上で誉められてました。これが大阪の祭です。

ここ浅草でも三社祭の一週間前から、各地区でお囃子の練習が鳴り響き、親や子供も浮き足立ってます。

こうして見ていると、渋谷や六本木のハロウィンというお祭りは、もっと広範囲に刹那的な非日常を楽しむせっかくの機会なんだと思います。

くだらない海外の風習だと一蹴するのもわかりますが、大人でもう一回文化祭をやるという気軽な気持ちも大切だろうと思いました。
群集が無秩序に集まった喧騒のように思われるかもしれませんが、意外とおとなしいもんです。

羽目を外すのがハロウィンなのではなく、仮装姿で歩けるだけというのが日本のハロウィンの特徴ですね。これは立派な東京の祭りなのだと地下鉄車内で認識しました。
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三菱重工が苦境のアレバ(仏)の子会社支援へ 
Saturday, October 31, 2015, 05:21 PM
10/31 晴 10時 浅草での空間線量は20ベクレル/立法メートル

本日の経済面で三菱重工が苦境に立っているアレバ(AREVA)の子会社への出資を決めたという記事がありました。
安倍晋三首相がトルコへの原子炉建設を約束したのも、このアレバの原子炉です。

アトメア1(ATMEA1)という加圧水型(PWR)の中型原子炉とのこと。
電力需要にあわせて出力を絞ることができるので扱いやすいのが特徴なんだとか。

まあしかしなんですな。

原子力大国であるハズのフランス政府が脱原発路線になっちゃったもんだから、アレバも子会社を支えるだけの体力がなくなっちゃったわけですね。

共同開発相手の三菱も乗りかかった舟だから見棄てるわけにはいかないし、両者とも国策企業でもあるからファイナンスの最後のケツ持ちは国家ということになるでしょう。

原子力プラントは東芝+WH(ウェスティングハウス)、日立+GEといった米国陣の他、ロシアや中国なども世界で販売を展開する厳しい競争の状況であり、先進国では完成遅延や蒸気漏れなどの小規模な事故による巨額賠償訴訟が多くなされています。

日経産業新聞 2013/11/11
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO62265460X01C13A1000000/

■「原子力事業、商業的には成り立たない」

 運営者がトラブルや事故を起こした原発のメーカーに寛大な対応をすることは考えにくい。国民感情を考慮するなら、メーカーが外国企業の場合は特にそうだろう。サンオノフレのケースでいえば、運営者は巨額の賠償請求を突きつけたSCEであり、監督当局のNRCも同調している。三菱重工の責任追及には地元カリフォルニア州選出の上院議員も暗躍した。

 原発ビジネスはセールスからリスク管理に至るまで政治の関与がますます不可欠になりつつある。

 「いまの原子力は『国家事業』だ。つまり商業的には成り立たない」(10月10日付日本経済新聞朝刊「真相深層」)

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)のこの指摘は確かに的を射ている。日本政府や原発メーカーの経営者はどう解釈するだろうか。



このように商業的には絶対に成り立たない原子力事業なのですが、電力エネルギーの手綱をロシアに握らせてはならないという国家の思惑で東芝や三菱重工、日立は動かされているのです。(三菱重工と日立は発電事業では合併している)

ロックフェラー系がフランスの原子力を握れるのか!?



フランス企業ですからアレバはロスチャイルド系のように感じますし、三菱重工は立派なロックフェラー系企業の代表格です。それともヨーロッパの原子力産業はロックフェラー系で牛耳られているのでしょうか。

この記事を見て単純にそう感じました。

損得勘定ではなく、日本企業がフランスのアレバに金を出す背景はアメリカの要請だということです。

関連ログ:中国の方が上手だな(欧州での原発事業拡大に本腰の中国)

左にはアメリカの製薬会社ファイザーがアイルランドのアラガンという製薬会社を13兆円超で買収するという記事。TOBなので最終的には20兆円となると予測されています。

アラガンという企業は最近合併を繰り返して大きくなったアイルランドの医薬品会社なんだとか。
ファイザーがなんでアイルランドの企業を買収したのかというと、法人税が12.5%と低率なため、グローバル企業は好んでアイルランド企業と合併をしたがるのです。(米国は35%)

アイルランドへの本社移転で税金が1/3になるのならば、平気でするというのがグローバル企業というもんなんですね。
温泉がある国だから日本企業も何社かは籍を置いているみたいです。

参考:【10秒で読む日経】 2015/10/30
http://archives.mag2.com/0000102800/


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へぇ松田聖子のヒット曲は松本隆と松任谷由実の作だったのか 
Friday, October 30, 2015, 11:38 PM
NHKのSONGS「松本隆」を観ました。青春時代の代表曲だという方も多いでしょう。
画面のクレジットでは作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂とあるのでユーミンだとは今まで知りませんでした。
幼かった頃は甘ったるくてむずがゆい聖子ちゃんの曲は好きではなかったのですが、今では全然輝きを失っていない良い曲だと思います。

朝は小椋桂(おぐらけい)がNHKに出ていて、「愛燦々と」を歌っていました。「さらば青春」「シクラメンの香り」を朝から聞くとは思わなかった。こちらも沁みる曲ばかりです。

松本隆作の作曲ではユーミン以外に、松本隆最大のヒット曲「硝子の少年」は山下達郎の作曲です。こうして朝は小椋桂、夜は松本隆の曲を聴くことで、

音楽の世界は突出した能力のある人だけの世界


なんだなあと妙に感心しました。

いまさらギター弾いてロックスターになりたいわけではないので、素直に聴けますね。
時代を切り取って、求める形で表現できる人たちがポップカルチャーを築いたのだと素直に感心しました。
AKB商法で叩かれる秋元康も私は希有な能力を持つ人だと思っています。

AKBのヒット曲もよく聞けばちょうど私ぐらいの中年には懐かしいメロディーラインです。
安定のワンパターンとも言えますが、ちゃんと潜在的な需要を掴んで巧妙に作られているのでしょう。
昔は寄せ集めの素人ネエちゃんと思っていましたが、いまでは安心してAKBは聞くことができる。

駄作・駄文を寄せ集めてハーモニーをちゃんと完成させる我が師、副島隆彦先生も出版界の秋元康と言えるでしょう。ただ集まるメンバーが小粒すぎて申し訳ないっす・・・。

80年代前半の甘ったるい聖子ちゃんの曲を聴いていたら、逆に辛口な曲を聴きたくなりました。

そこでCDをかけた曲はこれ、浜田省吾「愛の世代の前に」
まだ都庁も建っていない頃の新宿かな。当時はこの歌と山下達郎のRideOnTimeに痺れました。


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自動居眠り誘導装置付自動車 
Friday, October 30, 2015, 11:45 AM
10/29 晴 10時 浅草での空間線量は21ベクレル/立法メートル

モーターショーの目玉は自動運転機能なんだそうで、10年前でもすぐにでも搭載可能な状況だったと自動車会社に勤める友人が言ってました。

衝突防止機能は一社が搭載したら、すぐに他社も追随して発表したのは、どの自動車会社も製造者責任(PL法)で躊躇していたからなんだとか。

自動運転技術は旧運輸省時代から自動車業界あげて取り組んでいたことで、別にGoogleあたりが先鞭を付けたわけではない。

けどもなんとなくGoogleが先行しているようなイメージなのは、アメリカ国防省が後押ししているため、あちらは軍需企業が潤沢な資金とシリコンバレーの頭脳が集結しているからでしょう。

一方では、日本は事故の責任が企業に押しつけられる恐れから、いちおうやってますという姿勢を取る程度だったのだとか。
それでも高速道路や自動車専用道路の自動運転は10年前でも十分可能だったのだとか。

ハードウェアは出そろっていて、あとは人工知能(AI)の能力次第という段階なんでしょう。(しらんけど)

ただもし危険を回避できない状況に陥ったら、AIはどのような対応をするのかという疑問がネットで盛り上がっていました。

正面にも人、側面にも人が突然飛び出してきた状況では、さてAIはどのように反応するか?
つまりとっさにどちらにぶつけてもいいかという「殺人判断機能」を組み込まねばならないということ。

もしくは人にぶつける前に、自ら崖から落ちるとか、側の建物やガードレールにぶつける「自爆機能」を組み込まねばなりません。

そんな状況があるかって?

私が最近体験したことですが、銀座通りの車道を自転車で走っていたら、いきなり女性が目の前に仰向けに倒れてきたのです。心臓が止まりました。
避けるためには左の歩道へ身体を放り込むか、車道側に大きく避けるか、女性にそのまま乗り上げるしかありません。

スピードが駆け足程度だったので、前のめりな急ブレーキで車道側に転んだだけで済み、後続のクルマも止まってくれました。一歩間違えればこちらが轢かれているところ。

周りの人はオレが女性を轢いたようにみえたのかもしれませんが、おしりをさすりながら女性が起き上がって、高いハイヒールが突っかかったと私に謝ってくれたことで、周囲も納得されて事なきを得ました。

子供よりも、都心ではタクシーを拾うために車道へ急に飛び出すサラリーマンもよくいるので、注意が必要です。

自動運転だから安心しても、不意にガツンとブレーキがかかったら心臓に悪いだろうなあ。

モーターショーではベンツが運転席を後ろ向きにして移動中でも会議したり、パソコンでメール作業などができますと謳っていました。

会議や打合せは電車の中でヤるよ・・・



もしベンツの言うとおり後ろ向きで打合せしていて急ブレーキがかかったら全員鞭打ちになるでしょうね。

すばらしい技術のように思えますが、それでは高速インターネット時代に大々的に喧伝された「TV電話」はいまはどうなったでしょうか?

少なくとも私は使いません。Skypeは何年も起動してませんし、iPhoneでも使っている場面は一回だけ見ましたが、相手が嫌々なのがカメラを通して感じられました。眠いからと一方的に切られてお仕舞い。

モーターショーに合わせて、自動車評論家による自動運転の体験談がネットで読めます。

自動運転はひたすら眠くなる



座ってフロントウィンドーから眺めているだけだから、そりゃ眠くなるわ。自動車の評価もへったくれもあったもんじゃない。

ペダルとハンドルだけ操作できれば動く自動変速装置(AT)がほぼ標準となった今では、信じられないような事故も報道されています。
長距離トラックの運転手、認知症や精神障害者、テンカン、四肢障害者などにはAI搭載の自動車の法整備が進めばメリットはありそうです。

でも私がヨイヨイジジイになる30年後あたりに、操作不要なクルマに乗りたいかというと、まっぴらごめんです。
その頃には全車が自動運転になるので、タクシーという業種が消えて、自家用車の乗合いが普通になっている可能性も高い。

もっとも水素自動車のようにタイヤがついている発電装置として一家に一台となっている可能性もなきにしもあらず。

どのみち退屈な機械となる運命でしかないのでしょう。
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中国を叩くためにFOMCはいよいよ12月に利上げする 
Thursday, October 29, 2015, 06:18 PM
床屋政談です。

今朝の日経電子版から抜粋です
米連邦準備理事会(FRB)は28日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利政策を維持し、利上げを見送った。声明では、雇用環境が弱含んでいると認めたが「次回会合での利上げが適切か、進展を見極める」と初めて盛り込み、12月に利上げする可能性を示唆した。


あちらでは一年後の大統領選を控えているために選挙の半年間は大きな金融政策はできなくなります。そのためにもFRBは年内には利上げするだろうという予想があります。

たぶんそうするでしょう。

中国経済に鉄槌を加えることをどうやらホワイトハウスは決めたのでしょう。
そうしてロスチャイルドは中国軍によるアジアを紛争地帯に陥らせようと否が応でも進めさせていく。

なんか既視感があるなあ。
歴史は繰り返すといいますが、来年も状況は好転しないでしょう。

アメリカの金融引締めで中国や先進国から一斉にドルが戻っていくでしょう。
政府の要請でこれ以上は中国の横暴は許さないとアメリカ財務省が動き出したのかも知れません。

イエレンさんは景気浮揚策で利上げを今まで押しとどめていたのですが、アメリカ財務省の利上げ要求に抗しきれずに年内には利上げをするだろうということです。

来年は日本の景気も波乱な状況になります



再び中国発の世界金融危機が発生するかもしれません。もしそうなれば日本経済も影響は避けられません。

はたしてアメリカが覇権を固めるか、中国の抱きつき心中となるかは私にはわかりません。

すくなくとも言えることは、ドルの利上げは新興国には大打撃となります。そしてドルの利回りと連動する円も日銀は利上げとするでしょう。

そうなると日本国債の価格低下(利回り上昇)、国内銀行の財務悪化とゾンビ企業の倒産が相次ぐ自体となります。

総員、防御を固め、衝撃に備えよ


という状況がいよいよ迫ってきたと言えます。

浅草の夜は閑(しずか)です。
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小学生でも大学で習う高等数学が解ける時代なのです 
Thursday, October 29, 2015, 03:07 PM
10/28 曇 10時 浅草での空間線量は21ベクレル/立法メートル

あんまり数学の話題ばかり拾っていると、六城ラヂウムの存在意義である”健康”に関係ないとそっぽを向かれてしまいますね。

しかし私には我々日本人のひ弱な思想はいったいどこから来たのだろうという疑問があるのです。

副島隆彦先生がかつてより、サイエンスは西洋宗教の”魔術”として日本に入ってきて、それを”術”のみが受入れていったのだと解説されています。サイエンスは元々は修道士や哲学者が神の存在を知ることができる”秘術”であったのです。

江戸時代中期(8代将軍吉宗頃)から中国経由やオランダ商船から天文学(暦)、測量といった知識が日本にも紹介され始めました。

代数(方程式:当時は天元の術と言った)や微分積分も江戸後期となると日本の数学者達もどんどん貪欲に取り入れて武道とならぶ秘技・流派となっていくのです。

ところが明治4年には学制が発布されて、算塾の秘技であったアラビア数字での筆算が授業で取り入れられています。(それまで寺子屋レベルではそろばん計算ばかりだった)

キリスト教徒の秘術をなぜ術の部分だけ取込むことができたのかというと、すでに崇める対象があったからです。

江戸時代では敬う対象は大権現様(お天道様、家康のこと)であり、大政奉還後は天皇の神格化を強化しました。

これは山縣有朋(やまがたありとも)がキリスト教の布教を認める代わりに、神-キリストー精霊という三位一体論の神を天皇とすることを条件にしたことによります。

こうして明治では廃仏毀釈(はいぶつきしゃく:旧勢力配下であった寺社仏閣を打ち壊す運動)と廃城令が出されて徹底的に殿様と将軍家の象徴を破壊します。

イスラム過激派(タリバーンやISIL)が遺跡を爆破破壊していくのと同じ事です。

本来なら明治維新で日本人の大部分はキリスト教に帰依していくのが成り行き上必然だったのに、キリスト教の勢力はそれほど広がらなかったのは、徹底した切支丹禁教の名残があったことと、カトリックとプロテスタントの勢力を明治政府が上手く上手くあしらって切り抜けたからです。

明治政府による強引な天皇至上主義教育の賜物



NHK大河「花燃ゆ」でちょうど今は初代群馬県令の梶取素彦(かとりもとひこ)が公立学校設立に奔走している場面です。

江戸幕府への絶対的恭順を叩き込まれていた県民を明治政府に従わせるには、天皇を新たな神として信仰させる急務があったのです。また梶取自身も天皇崇拝者でありました。

一方、旧幕臣達や徳川家は天皇は京都にいるお飾り程度にしか感じていません。今でも内閣総理大臣の任命は天皇から形式的に勅令される風習となっていますが、徳川将軍の独裁下にある江戸時代では、庶民にとっては天皇はもっと軽く縁遠い存在だったと思います。

教育機関と兼ねていた寺社仏閣、寺子屋や藩校、町の私塾をすべて破壊してでも、政府管轄の教育制度を儲けた理由の側面には、緊迫であった思想統制があったのは疑いようがありません。

梶取素彦が就任する前には群馬にはまだ江戸幕府支持が多く、進駐した新政府軍にはゲリラ戦を仕掛ける村落があったそうです。今の伊勢崎あたりでは幕府兵の残党狩や協力者の惨殺が見せしめとして行われていたという記録があります。

思想(信仰)とは恐ろしいモンで、明治の教育体制が日本人の「玉」としての天皇家を奉ったからこそ、西洋秘術(サイエンス)は「術」というエッセンスだけを抜き取ることができたのです。

ただしこれが狂信の悲劇へと突き進んでいったことは言うまでもありません。

だから歴史とは善悪二元論に陥ってはいけないものだと思います。

ちなみに私は天皇制の維持は宗教・思想の防波堤として絶対必要だと思っています。

話を戻して、すごく柔らかい数学の本を紹介しておきます。

「とんでもなく面白い 仕事に役立つ数学」 西成活裕 日経BP 2012年

いわばこの本は数学のキモである成り立ちの背景や過程なんぞすっとばして、生産現場や商品開発ですぐに役立つ「技(術)」として高校生あたりでみんな悩んだ数学を再認識してもらおうという趣旨の本です。

数式の成り立ちが掴めたら、設計で使えるという公式がこれとあるだけで、なるべく数式記号が本文中にはないように工夫されています。社会人大学の講義内容がそのまま本にしたようなものなので、パラパラと読めます。

なんでも物事を最適化(最小化)する、いわゆる「無駄取り」は直感や経験だけではなしえません。

そこで事象のモデル化や単純化で三角関数、微分方程式、フーリエ解析といった技術が役立つという内容です。

私は20代前半はずーっと微分方程式、フーリエ解析、そして行列式に苦しめられてきました。とくに社会人では”非線形”という直線グラフでは表せられない事象や挙動を表示するエンジニアリング・プログラマーでした。

当時コンピュータはあっても、自分で使うためには自分でプログラムを組み込まねばなりませんでした。ワープロと表計算ソフトはありましたけど。

いわば自動車に乗りたければ、エンジンから自分で造らないといつまでも走りまわることができない状況です。
しかし中学程度の数学は自作できても、大学レベルの高等数学をコンピュータで誰でも手軽に使えることは、まず夢の世界だったのです。

まして分数の足し算かけ算といった分数表記は、当時のコンピュータではできません。
例えば 1/2+1/3=0.833333・・・となり、5/6の近似値しか得られません。この近似値の誤差が非線形では大きな影響となります。だからコンピュータの結果を常に電卓で概算して常に検証しないといけませんでした。

時代は進んでめんどくさい計算はすべてコンピュータがやります



今は違います。数千円で分数はおろか、行列や統計も答え一発ででる電卓が電気店の店頭に吊り下げられていますし、一万円もだせば大学や大学院レベルの数式もささっと解いてグラフまで描いてくれるコンピュータが販売されています。

えーっと両辺を積分して、この値を代入して、この値を求めてからxの値を・・・などとやる必要はまったくない。

「とんでもなく面白い 仕事に役立つ数学」でも具体的な計算はコンピュータでとなっています。

式さえ入力できれば、あとはコンピュータが何度でもやってくれます。(私にとっては涙がでるような話です)

そんなことよりも、三角関数はゆらゆら揺れているイメージ、急激に増えていく指数関数のイメージ、増減を決定する固有値のイメージ、ぐるっと回転する虚数の世界のイメージなどをしっかり身につけておくことが大事なのだと西成活裕氏(東大教授)は訴えています。

それさえあれば、理屈や解法は後回しにしても、あとはコンピュータが解いてくれるのです。

いままで何でこのような式が波になったり、振り子の式になるのだとうと思っていましたが、イメージすることがこの本の御蔭でできるようになりました。

海外の数学の授業では電卓必須のところが珍しくありません。そしていまや数学教育にコンピュータが猛烈に普及しています。
そこでは、画面のロボットを動かしたりするのに、子供たちが行列や複素数を自在に使って遊んでいるのです。

技術だけは驚くべき速さで世界中に伝播していきます。
いまではフーリエ変換を知らなくてもデジタル化された音楽をスマートフォンで誰もが楽しんでいます。

江戸末期黒船が来た頃、ヨーロッパではすでに蒸気機関車が走り、大西洋間の電信網までありました。
大正8年にはアメリカでもラジオ局が設立されると、日本も6年後にはラジオ放送が始まり、その25年後にはテレビ放送も始まりました。

蒸気機関から鉄道へ、電信から放送へと、応用(application)例はあっという間に世界に広がるのが近代社会の特徴です。

NHK朝のドラマ「あさが来た」は明治期の女性実業家・広岡浅子のお話で、そろばん好きの少女時代が描かれていました。
商家の帳簿管理は男尊女卑で、そろばんは一部の人が用いる技術でした。
それを浅子は打ち崩して、嫁ぎ先で活躍していくというお話です。日本女子大の創立者ですが、計算力の必要性を訴えたかったのではないかな。

なぜか現代においても、数学は頭のええやつだけがやっとけばいい、特殊な能力を持つ人たちの娯楽のように思われています。
一方で海外では、身近な遊び相手としてどんどん子供たちに微分方程式とか複素数が与えられているのです。

これではこれからの日本人は勝負になりません。

幕末-明治にかけて必死に術を学んだ日本人たちはいったいどこにいったのでしょう。
その根源は、いまでも旧態依然の教育にあると私は考えています。

もっともそのように考えている富裕層は子女をさっさと脱出させてますけどね。

過去ログ:夏目漱石「門」の主人公宗助の頭脳は幾何が占めていた
福沢諭吉が唱えた啓蒙思想とは数学知識の普及のことである
物理学・数学は1600年代に急激に発展したというグラフ
そして再び「無」の探求が始まった
異端の数 ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (2)
情報の非対称性がより固定化された(マイナンバー制度はモラルハザードを引き起こす)
異端の数 ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念(1)
「ゼロ」が怖いよ、怖いよ~ひぃぃ (数論は神学論争なのである)
「数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか」竹内薫 丸善出版
そろばんは加算・引き算だけではなく、割算も二乗根も三乗根もでるのか!
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中流のドイツ人はシリア難民が来られるならWillkommen(歓迎)である 
Tuesday, October 27, 2015, 02:35 PM
10/27 晴 10時 浅草での空間線量は28ベクレル/立法メートル

昨晩はドイツの友人が来日して東京モーターショーの関係者として入れるから遊びに来いとのこと。でも断りました。モーターショーなんて20年近く観に行ったことはないし、興味ないしね。

そしたら浅草まで遊びに来てくれたので、ビール片手にいろいろ雑談をしてました。

シリア難民は大変な問題になってるだろうと水を向けると、涼しげな顔で「ああ、そうだねー」と一言。

意外と深い問題とは感じてないようで、「シリア人はやっぱりよく見かけるの?」と訊ねると、フランクフルトやハイデルベルグといった都市部やルール工業地帯にもすでに多くのシリア人はいるが、行き先のないシリア難民は駐独米軍キャンプ地跡などの元兵舎にいれられるんだとか。

そして企業にはドイツ政府から難民の雇用の要請があり、言葉ができなくても、宗教問わず、必ず割当人数以上を雇わねばならないのだそうです。

もちろん雑用や掃除、単純作業しかできませんが、できることを探して仕事を与えねばならないのだそうです。

同い年ですが、帰国したら彼の部署が雇う10名程度のシリア難民の面接を彼がするのだとか。

驚いたことに、それが当然という風にさらっと答えてます。つまり一般的なドイツ人のメンタリティーは難民がいくら押し寄せても、どうにかしてでも仕事を創り出してあげるし、それは俺たちはできると考えているのです。

・・・びっくりしました。

EUの盟主としてメルケルさんが暴走しているわけではなさそうです。あきらかにメルケルの難民政策にたいしては中流階層に属している友人は賛成しているのです。

「仕事が奪われるって?僕らの代わりにはならないよ」と平然としています。

そしてコピー取りや床掃除、ちょっとしたお使いでもいいので仕事を与えるのがドイツ国民の責務のように感じていることが口調から察しました。

もっと感心したのは、日本に来日した理由が、来年インターナショナル高校を卒業する娘さんが日本支社で面接を受けるのだとか。それで父親も受入れてくれる同僚らに挨拶をするために来日したのです。

ドイツの大企業では人事部がまとめて採用などはしない!



「えっ?まだ高校生じゃないの?娘さんは」

「ああ、進学前に働きたいと言ってるし、勉強よりも会社で働きたいと言ってるから・・・」

「それで父親の勤めている会社で働くって言ってるの?」

「うん、それで親子面接となったわけ。子供だけど、なんかできる仕事はあるはずだよ。」

彼の父も同じ会社ですから、親子三代同じ企業となるわけです。
彼も高校卒業と同時にドイツの大企業に勤めて、日本に来たわけです。(そして結婚した)
ドイツじゃ面接する側、日本じゃ面接されるがわと大笑いしてます。

それって超縁故採用だろ!?



ハンディーキャップがあろうと、言葉ができなかろうと、歳が幼かろうと社会にはなんらかの仕事があるというのです。
この仕事はこの給料だと互いが納得したら、すぐに働くことになるだけなのです。

もっとも数年はアシスタントという下働きは誰でも積み重ねなければならないのは、どこも一緒だということ。

そしてシリア人だろうがパレスチナ人だろうが、関係ないのです。

すでに人種、肌の色、国籍がベルリンの壁の崩壊とEU設立と同時にごちゃごちゃです。
あちらで一度だけ彼の職場の人たちと会ったことがありますが、サッカー選手のようなアフリカ系、いかにもフランス人的な長髪パーマのひょっろっとした眼鏡、体格が似ているギリシャ人、色黒でお調子者なポルトガル人、サッカーでムキになるスペイン人、ソフィーマルソーみたいなマダム風の秘書、丸顔童顔の中国人、目が目立つギョロ目のインド人・・・

国境がなくなったのだからこうなるのは必然のこと。大陸(コンチネンタル)の同胞なのだからというわけです。
おどけてルーマニアなどからもきれいで細い女性がたくさん来ので良いこっちゃとのことです。

そして何よりも彼のような一般的な中流ドイツ人は

難民でも高卒中卒でも、企業は仕事を提供する義務がある



このように考えているのです。

VW(フォルクスワーゲン)の事件は、ドイツ国内ではそれほど大騒ぎではないようです。
そしてシリア難民も中流ドイツ人にはどうやらそれほど軋轢を生じているわけではないことを知りました。

国民性という一言では済まない話です。

キリスト教の楽天主義が根底にあるからなのだろうか?



リベラリズムってのはすごいものだな・・・

そして相応の負担はしかたがないと「ドイツ帝国」国民は思っているのだろうか。私にはちょっとついて行けませんわ。
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夏目漱石「門」の主人公宗助の頭脳は幾何が占めていた 
Monday, October 26, 2015, 04:29 PM
明治の文豪達、特に夏目漱石は数学が芸術の基であると考えていたようです。

文芸も絵画も音楽もすべては幾何学に基づいていたという考えは、西洋の知識人達、美術家、作曲家には普通であったでしょうし、開国以降雪崩れ込んできた西洋文化の根本は西洋数学にあると、明治の知識人たちは新鮮に捉えたのです。

朝日新聞に連載されている「門」でも弟小六の学費工面で悩む宗助の心情が冒頭で吐露されています。

(前略)
髪の毛の中に包んである彼の脳は、その煩わしさに堪えなかった。昔は数学が好(すき)で、随分込み入った幾何(きか)の問題を、頭の中で明瞭(めいりょう)な図にして見るだけの根気があった事を憶い出すと、時日の割には非常に烈(はげ)しく来たこの変化が自分にも恐ろしく映った。
(後略)


問題解決の手段として「幾何」が有効である



このように漱石は捉えていたのです。そして文芸論を東京大学の講師時代に上梓していますが、それは代数(方程式)による小説の分析です。

明治中頃から末あたりまでは、役人の登用条件としては、数学の能力が必須だったのでしょう。

いまの公務員試験とは全然違いますね。今の公務員試験は雑学のように思えます。
社会科の試験のようです。(どっかの国の首都名をあげよとかそんなのばっかり)

それならばクイズ王でも名前を変えてやっておけよといいたい。

数学を軽んじていると、集合論も軽んじることになり、やがては法律さえも軽んじていくでしょう。
じっさいに日本の憲法解釈なんて、憲法自体もそうですが、どうにでもなるような代物になりさがっています。

明治頃は実力次第で役人に登用されていたようで、それは数学的素養だったのでしょう。
そんな面を「門」から推し量ることができます。

過去ログ:
漱石は「こころ」で贖罪を問い、「それから」では罪という概念を嫌った
スピリチュアリズムとは無自覚な土人宗教です
室町時代が日本のルネッサンスであった(ドラッガー・コレクション)
夏目漱石の宗教観とインターネット空間が無法地帯であること
「それから」に学ぶ「喰うために働くということは悪徳である」ということ
100年前から女の方がずっと上手(うわて)です(夏目漱石「三四郎」から読む)
勝海舟はフリーメイソン・・・だったらどうだって?
フランス文学(という政治批評)が幕末・明治の知識層に多大な影響を与えた
理系とか理工学部とか理学と工学をいっしょくたにする愚かさ



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福沢諭吉が唱えた啓蒙思想とは数学知識の普及のことである 
Monday, October 26, 2015, 01:15 PM
10/26 晴 10時 浅草での空間線量は32ベクレル/立法メートル

筆算をひろめた男 幕末明治の算数物語 丸山健夫著 2015年 臨川書店

出張が続いたので、電車や待ち時間で読める本を買い求めていきました。日本の数学・物理学の発展のきっかけをペリー来航あたりから明治中期までを解説した本です。

薄くて簡潔、しかも間尺や一石一斗といった単位の解説もありますから、身構えなくてもよいです。

著者は武庫川女子大の先生なので、女子大生相手にした講義をそのまま本にしたようなもので、図表も多く丁寧です。

数学史なんて興味ない生徒に少しでも興味を持ってもらおうという姿勢が、とても好感を持てます。

工学系大学はジョーダン一つもない耐えられないつまらなさです。たぶん今でもよぼよぼの爺が手垢のついたノートを舌で湿らせた指でめくって読み上げるような授業をしているのではないかな。

私が数学嫌いになったのは、技術としか数式を見せてこなかった教師陣たちにあると、この歳になってあらためて恨んでいます。あの教師達はゆるせねえ。

いままでの数学史、和算の歴史の書籍はたくさんあります。サラリーマン研究史家の鳴海風氏の小説もあります。

江戸時代初期のベストセラー「塵劫記」(じんこうき 1627年)の著者吉田由光、八代将軍吉宗のころになると御殿碁打師であり改暦を実行した渋川春海、関流家元の関孝和が活躍します。

そこらへんはさておいて

アラビア数字(0,1,2,3・・・)はいつ頃から広まった?



ペリーがきた幕末では、蛮書調所(開成所)のエリート幕臣達は、すでに使っていたようですが、まだまだ一般的ではありません。多くの寺子屋や商人では計算はそろばんです。

それでも幕末頃には数学書がいろいろ出版されており、それには漢数字とアラビア数字の対応表や筆算の実例が掲載されていました。

幕府が倒れたことで、それまでは幕府の一部専門家たちが秘術としていた西洋式の計算方法や洋書の内容が市井に広まっていったのです。

維新での薩長と幕府の戦いとは関係なく、数学を趣味とする旦那衆たちや算学塾がこぞって求め、また解説する書籍が出回るなど庶民はそれまで禁書とされていた書物を通して、知識を増やしていったのです。

そして子供たちや大人たちに数学を教える塾が大流行でした。
幕末には数学が一大産業となっていたのです。

大人は幾何学や微分積分、子供たちはそろばんでの四則計算といったところです。

数学塾はサービス業の一角でしたから、アラビア数字による筆算も福田理軒(ふくだりけん)の塾では取り入れられています。商人出身なので民衆が求める嗅覚が優れていたのでしょう。

明治政府の学制発布で私塾は壊滅してしまった



明治5年に学制が発布されて、全国に小学校が設立されていくと、それまで私塾で習う数学は科目の一つとなり、塾の存在が薄れていきます。しかも福田理軒が目指していた洋算主体の数学は、公立学校でも洋算に切り替わったことで目論見が外れてしまいます。

塾の師範らは教師として雇用されていきます。師範免許なんてなかったので手当たり次第掻き集めて学校制度が始まったのです。

なんせ数学や物理を教えられるインテリは絶対的に少ないのです。

徳川家は80万石に減らされ駿府(静岡)へ移転させられました。多くの幕臣が付き従って静岡へ移り住み耐乏生活をよぎなくされます。

徳川家は藩校として元幕臣のエリートによる静岡学問所・沼津兵学校を設立しました。

この両校を徳川家は薩長明治政府への切り札として温存を計りました。さすがだね、まさに人材こそ宝ですし最大の武器です。

ところが明治政府は中央集権制度を建前に藩校禁止令をだして、学校はすべて政府認可としてしまいます。このため徳川家が要していたお雇い外国人教師や蛮書調所(開成所)のエリート幕臣達は東京への出仕を求められて帰京することになるのです。

ところが職を失った元幕臣達には新政府に従うことを良しとしない人たちも多かったのです。

そこで福沢諭吉は静岡学問所・沼津兵学校の教師達の再就職先や情報交換のために、啓蒙思想を広く普及するためという名目で銀座に明六社という出版社を立ち上げます。

そこには幕臣であった数学者、物理学者が集結して、日本の教育方針を議論する場として日本を先導していくハズでした・・・

福沢諭吉が目指したのは、窮理学(きゅうりがく)を日本の思想に据えるという壮大な計画だったのです。

窮理学とは数学・物理・天文・化学といったサイエンスすべてであり、神学でもあったのです。

ただ残念なことに洋書の翻訳を通して海外情報を広める明六社の活動は数年で終わってしまいます。
福沢諭吉が慶應義塾に本腰を入れたのも原因であったのでしょう。

そうして元幕臣エリート達は一堂に会することなく、教授や技師、役人、企業家として活躍していくのです。

啓蒙とは数学を基に身を立てることをであり、啓蒙家は身を以て示した



このようにみれば、福沢の興した明六社はたいへん意味があったのです。
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ノートPCの冷却ファンの修理交換 
Sunday, October 25, 2015, 02:45 PM
10/25 晴 10時 浅草での空間線量は28ベクレル/立法メートル

10月7日に愛用のPCのファンが唸り音を出して頻繁に停止するようになりました。ファンの故障で内部温度が上がり自動停止してしまうのです。停止しないまでも、CPUが熱を持つので低速運転になってしまうのです。

とりあえず分解してファンの部品番号で検索すると、香港の部品会社が在庫していることがわかり、国際郵便で発送してもらいました。決済はPaypalというクレジット決済です。
インターネットのありがたさです。

18日かけてやっと到着しました。空箱にころんといれただけ(笑)秋葉原で同型品なら1000円もしないのですが、送料込みで5000円弱もかかりました。東芝の専用品なので東芝の修理センター以外で同型を入手する方法はありません。

さっそくひっくり返して、分解します。
東芝のノートパソコンはたいてい同じ分解手段です。
①キーボートの取り外し
②底部のビスに同じグループの番号(この機種はS4というビス)が振ってあるので、それを全部はずす
③キーボード側からもPCスロットの固定ボルトを外す。

これで三枚おろし状態になります。

ぜったいに無理に力を加えて剥がさないということと、フラットケーブルは細心の注意で取りはずすということ。

ファン部分が露呈しました。左に新品の部品を並べてみます。
・・・ケーブルがやけに長い

取り外したものと比べてみると、ケーブル長がおおざっぱ
ケーブルを切り揃えてハンダをやり直すこともできますが、もともとのファンも捻ってあります。
無理やり隙間に余ったケーブルを押し込みました。

あとは元通りに組立てて、ビスの種類を間違えないよう、締め忘れがないように注意していくだけです。
精密ドライバーが一,二本あればできる作業です。

壊れたファンを分解してみました。一説ではパーツクリーナーで洗浄して、軽いオイルを軸に注油すればしばらくは異音は収まるということです。

しかし一度すり減った軸は元に戻ることはありません。やはり交換するしかないでしょう。

このブログの更新は、三週間ぶりで自前のPCで更新していますが、ファンの音が消えて快適に動作するようになりました。やれやれ

このPCはハードディスク、キーボードも過去自分で交換しています。
東芝製のPCは同じシリーズならば古いやつを部品取りとしておいておけば、結構流用できることが多いです。

ただ東芝はPC生産から撤退するという話もあるようです。
質実剛健であんまり凝った作りではないので、私は好きなので、まあ存続してもらいたいものです。
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フランスの平等主義は同性愛者にまで及ぶという異常性を糾弾する 
Thursday, October 22, 2015, 01:58 AM
NHK特集「NEXT 架空の子供」という番組を観ました。同性婚が認められているフランスに住む牧村朝子という文筆家が将来iSP技術やクローン技術で同性者同士での子供が作れるようになったらどうなるかという話をしていました。

スプニツ子という科学者?サイエンスライター?が、実際に遺伝子を解析して、女同士の子供をリアルにグラフィックで見せるサービスを紹介しています。

iPSの研究者はマイノリティーが幸せになり、誰も不幸にならないのであれば、将来は同姓間の子供が作れてもいいのではないかといいます。

別の研究者は医療とは具合が悪い当事者が自らの判断で受けるという前提があり、医学で可能であっても、同姓同士で遺伝子を提供して、で何もしらない子供を産み落とすようなことは反対だといいます。

遺伝子操作で遺伝的特徴を引き継いだ人工受精児をつくるのは今でもできるのでしょう。

この番組を観て

フランスの自由平等主義がどれほど危険思想かわかりました



NHK「NEXT」は同性婚を認めた先はどうなるか?すなわち子供を持ちたいという要求を認めるべきだという内容です。

私は特殊であるから、人並みのことをさせろ!といい、それに同調するのがエスプリだとみんな錯覚させられているのです。

フランス人って同性婚を認めたり、結婚制度を軽んじて私生児と片親ばかりだし、人種はごちゃごちゃの国だし、すくなくとも細かいことは向いていないラテン系民族なので金融と工業はお粗末なところがあります。

関係ない話ですが
20年以上前に中古のシトロエンという車を試乗したことがあります。六甲山の下りでブレーキが効かず冷や汗をかきました。ブレーキペダルを全身全力で踏んでも止まらない。

信号で止まる度にそりくりかえるほどの力を込めてブレーキを踏むことの繰り返し。
ヨーロッパ車はブレーキが甘いとは効いていましたが、これほどまで効かないとはと疲れ果てて返しました。

あとで聞いたら、その車のハイドロという油圧サスペンションは油漏れでダメになっていたのだとのこと。
シトロエンは油圧サスとブレーキの油圧は共用されているので、油が漏れたら必然でブレーキの倍力機能がなくなるのだとこのこと。

車屋のオヤジ曰く、シトロエンは100%そういう症状が起きるから、自分で直せるか直して乗る根気がなければだめだとのこと。お買い得車はたいていそうなのだとか。

シトロエンのハイドロは有名な話ですが、もっとすごい例はタイヤの直径がまばらだったという話もあります。つまりリムに嵌らなかったりしてました。もっともフランス製のリム自体もいいかげんな工作精度だったので、両者で現物合わせです。

だから私はフランス製の工業製品の精度などは期待していません。おフランス人が作っていると思ったら大間違いです。色黒なフランス国籍もたくさんいますし、昔話の田悟作のようなものすごい田舎者もたくさんいます。

ルターの呪いがいまでも大手を振っている国フランス



牧村朝子という文筆家とその配偶者というフランス女性にぞっとしましたね。そして進行役としてでてきたスプツニ子というMITの煽動者がでてきて

フランスとアメリカのリベラル思想が鼻につく



シャネルの香水と柔軟剤ダウニーを混ぜ合わせたらさぞかし良い匂いと言わんばかり(笑)

私は思いました、

平等博愛主義は本当に危険な思想だと



レズでも、ゲイでも、子供をつくる権利があると言い出しかねません(実際にそうやって脅迫めいた言葉を言っています)
まさに精神異常者が精神異常者を量産する社会です。

狂っているとしか言いようがない。
そして狂っている輩はなぜか祭り上げられて、狂っている奴が狂っていることを武器にして健常者をどんどん排除する社会になっていくのでしょう。

NHK「NEXT」を観て、一見博愛主義的な思想に流れては絶対にいけないと思いました。

男が男を好きになる、女が女を好きになるのは別に勝手ですが、それはそういうコミュニティー内だけでやってください。

浅草のドンキホーテで着物の人がいたのですが、タバコの銘柄をドスなオッサン声でレジ係に言ったので、こっちが驚きました。
大衆演劇の町ですから、ここでは許されます。

リベラルを標榜する政治家はぜったいに支持をしたらだめだだと思います。

同性愛者や加虐・被虐趣味、異常嗜好はかつては(性的)倒錯者という立派なレッテルがあったのです。

日陰者は日陰でいきる社会が安定した社会構造だと思う



大多数の普通の生活を過ごす我々が、倒錯者に乗せられて何も考えずに同情するような軽はずみなことが、自分たちの首を絞めていることだと言うことをもっと自覚すべきです。
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ラジウムブレスレットのカスタマイズ例 
Wednesday, October 21, 2015, 11:47 AM
10/21 晴 10時 浅草での空間線量は17ベクレル/立法メートル

昨年ご注文いただいたお客様から、ブレスレットのご注文がありました。
ただし水晶をいれてカスタマイズしてほしいとのこと。

水晶以外にも、ピンク色のローズクォーツや黄水晶、アクアマリン、黒曜石(オブシリアン)、針状の模様が入った黄金色のシトリン、翡翠色のクリソプレース、ロードクロサイト(インカローズ)があります。

私はぜんぜん詳しくないです。展示品をつくるために天然石屋さんの勧めるままに購入したものです。

ちなみに高価な玉のトップ3は一位ロードクロサイト、二位クリソプレーズ、三位アクアマリンです。しかもどれも特級品の滅多にない出物だったので購入しておいたもの。
おかげで現金がなくなり、他の素材の仕入れができなかったという思い出があります(笑)

今回は白のラジウムビーズに水晶と銀色のロンデルで華やかなものをご希望されたので、そのようにしました。

黒のラジウムビーズに金色のロンデルを組み合わせても渋いです。

今回用いた水晶はAA級という最上ですが、宝石の中では安価な部類なのでラジウムビーズ一色よりも安くなります。

パワーストーンがお好きな方は、好きな宝石を入れてオリジナルのブレスレットをつくってみてはいかがでしょうか。
通販ページにはお気軽にカスタマイズも申しつけ下さいと記してありますが

パワーストーンの意味や願いを尋ねられてもわかりませんから



そこはご了承下さい。

指定された玉が在庫していれば、できるだけご要望にお応えしますが、できるだけご自身でお願いします。

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宅地や山林が荒廃する元凶は相続制度と固定資産税制の欠陥に原因がある 
Tuesday, October 20, 2015, 03:59 PM
10/20 晴 10時 浅草での空間線量は18ベクレル/立法メートル

私には財産というべきものは持っておりませんので、関係ない話ではありますが、そうはいっても40代ともなると不動産を買う知人友人らも多く聞きます。ローンの支払いよりも入居後で固定資産税の通知ではじめて評価額に関心を持つもんだそうです。

固定資産税は住宅地ですと、毎年の課税額は評価額の1.7%(固定資産税1.4%+都市計画税0.3%)となります。ただし特例があって200m2までは宅地では評価額の1/6となり、200m2超は1/3となります。都市計画税はそれぞれ1/3、2/3となります。

60坪程度で評価額1000万円で宅地は課税されだいたい年間2万8千円あたりでしょうか。

地方では敷地が広くなるので、たいがいは評価額は800~1000万円に落ち着きそうです。
評価額は全国地価マップというサイトから概算しました。

ということはよほどの僻地でないかぎり、所有する土地に税金は年間3万円程度はかかるということかな。

ただし都市圏中心部はそれの5倍6倍となります。

建物にも課税されますが、築年数で減少していくのでここでは考慮しません。

土地に建物が建ってさえいれば固定資産税は1/6となるので、これまでは相続した空き家でもそのままにしたりして放置されてました。
ここ浅草周辺でも朽ちた長屋やガラスが割れた幽霊ビルなどあちこちで見かけます。

空き家対策で、倒壊や火災の危険性がある住宅は市区町村が指定すれば減免措置が外されて、一気に課税額が6倍となる法律が可決しました。再来年(平成27年)から施行されます。

土地の景観と活用面ではとても評価できると思っています。しかしまだまだこの土地に対する制度は不備、抜け道がある気がします。

朝日新聞の記事では固定資産税は市区町村の財源であるために、評価額を落とさない仕組みとなっていることを指摘しています。
そのため需要がない土地や建物にいつまでも税金がついて回ります。

もちろんそんな土地は物納は認められません。←これがまずおかしい

一度土地建物を所有したら、誰かに譲らない限り永遠に徴税が待っています。
(ただし土地の評価額が30万円以下、建物の評価額が20万円以下なら課税対象にはなりません。)

所有者が亡くなったらいつまでも子や孫、ひ孫へと納税義務が追いかけていきます。 ←所有放棄できない法律がおかしい

買手がいない不動産に役所がつける値段が乖離しすぎ



記事では更地でしか売れない物件にいつまでも税金を払い続けている例や、評価額の1/20以下の捨て値で売却した例が掲載されています。

人口減少で、処分もできず価値がゼロの不動産がこれからもますます広がっていくでしょう。

知人が事業用の土地を捜してました。

目的に適しためぼしい土地があったのですが、土地の形がとても悪いのだそうです。短冊状に所有者が分かれていて、どうやら相続で兄弟か子供に分割されたそうなのですが、道路に面したところの一部だけは、登記簿に記されている人が見つからないのだとか。
トラックの出入りのためにはどうしてもそこの土地も必要なのだとか。

生死さえもわかないので途方に暮れてました。どうやら固定資産税も滞納されているそうです。
たぶん名義変更もせず、放置されており、家族も子孫もそのような土地があるのかさえ知らないのでしょう。

どうするのかと尋ねると、平然と答えました。

「ああ、ついでに全部一緒くたに整地してしまうよ」



とのこと。

「どうせ所有者の家族が見に来ることもないだろうし、ましてや測量士を雇って調べることもないだろ」

つまり更地にして、アスファルトを敷いてしまえば、あとでこの区画は自分のものだと言ったところで、専門家を雇わなければならないし、やらないだろうという目論見です。
もちろん、正式に買い取るつもりでいるのですが、何年経っても所有者が見つからないので仕方ないと笑ってました。
不法占拠でも20年ほどで時効となり、正式に所有者として認められます。

こういう土地はまだ生かされ続けるので救いようがあります。

ただ所有者が入り乱れすぎていて放置せざろうえない土地もたくさんあるのも事実です。
朽ち果てたボロ屋が建っている集落の残骸のような場所も、よくよく探せばあるものです。

私の田舎の話ですが、勝手に農家の廃墟の脇にログハウスを建ててセカンドハウスにしてるひとを見かけました。
その地域では誰も文句はでなかったそうです。
逆に若い家族や若者が来てくれると歓迎されたのかもしれません。

価値がゼロ(もしくはマイナス)の土地を流通する手段が日本にはない



日本の不動産業の完全なシステムの欠陥です。200万円以下では売買額の上限5%の手数料しか認められない業界ですから、低い額では成り立たないのです。売り買いどちらに仲介しても10%です。

手数料を一律にして、これこそインターネットでやりとりするだけとすれば、多少は国土活用に役立つのですが、とにかく日本の土地家屋政策が悪すぎます。農地は農家でなければ買うこともできません。

土地を神聖化せず、もっと手軽に流通する手段、たとえば所有者との連絡が確実に行えるようにするとか等価交換ができるといった柔軟な仕組みがあれば、国土の有効利用につながると思います。

ちょっと飛行場をつくってみるかとか愛車を走らせるサーキット場をつくってみるかといったお金持ちがいるかもしれません。
いや実際に東京湾岸地区にヘリコプターの発着場(展示場)をつくろうとしていた金持ちを知っているのですけどね(笑)


以上まとめると、私の意見は

① 登記制度を改善して所有者に連絡できるようにするべき
② 空き家には課税の減免制度をやめるべき
③ 不動産の放棄返納をみとめるべき
④ 扱い額に比例する手数料制を不動産業は根本からかえるべき
⑤ 自治体が主導して土地の流通・活用をうながすべき

となります。

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ポケットラジオ SONY ICF-R300の修理 
Monday, October 19, 2015, 11:28 AM
10/18 晴 10時 浅草での空間線量は14ベクレル/立法メートル

私はラジオ派で、日中はほとんどラジオがつけっぱなしです。旅先でも地元のラジオをよく聞いてます。
一部のAMラジオ局も12月にはFMで放送が開始されます。ラジオ派としてはうれしい限りです。

なぜラジオが好きなのかというと、けっこう社会問題を深く取り上げるからです。

私のお薦めは東京FM(80.0MHz)の夜7時「TIME LINE」とJ-Wave(81.3MHz)の夜8時「Jam the World」です。

ちなみにTimeLinenの今週のテーマは「自己啓発系の危険性」です。書籍紹介や執筆者自身が登場して解説しています。Jam the Worldでは今日は「アメリカの戦争責任を考える」です。

なかなか硬派な話題でしょ。

夜中まで起きているときはNHKのラジオ深夜便がおすすめです。これはAMと同じですがFMだと音がきれいです。

こんな感じでラジオを車中でも寝床でも活躍している愛用のポケットラジオのイヤホンが壊れてしまいました。
プラスチックが加水分解してボロボロに崩れてしまったのです。まあ15年近く使ったから仕方がない。

同じラジオを持っている人もやはりイヤホンがバラバラに壊れてお釈迦になったと言ってました。

しかたなくあきらめて新しいのを買いました。SONY SRF-R431(写真右)というやつで、こんどは両耳のステレオタイプにしてみました。
片耳だけの旧型SONY ICF-R300(写真左)は歩きながら聞いても問題はありませんが、両耳はヤバいです(笑)
注意散漫、近づく車の音も聞こえなくなるので危険です。

自転車で両耳をヘッドホンで塞いでいるやつをたまに見かけますが、あんなことしたらいつ他人に怪我を負わすかわかったもんじゃない。自分が大けがするのは自業自得ですけど。

たいていはセロテープでぐるぐる巻いてなんとかごまかして使い続けますが、それだと耳穴がとても不快です。
そして音がビビッてすごく悪くなります。

そこでホットボンド(熱融解プラスチック)を垂らして素人修理をしてみました。

さっそく聞いてみると音質がこもって、かすかに小さくゴモゴモとしか聞こえせん。高音域が完全に消えてしまいました。

新品のイヤホンをよく観察すると、裏側にスリットがあるのですね。スピーカーも後部は解放しておかないとボゴボゴとしか鳴らないのと同じこと。

1mm程度の細いドリルで慎重に穴を開けました。
音質が良くなるまで慎重にドリルを操作します。イヤホン本体に届くぎりぎりまで、ボンドをそぎます。

結果はきれいな音質を取り戻しました。素人修理はこれぐらいが限界です。ふたたびポケットのお供に復活です。

これからだんだんお鍋料理になるご家庭が多くなっていくでしょう。
カセットコンロの点火はちゃんとできますか?火花が飛ばなくなったら、過去ログで簡単な修理を紹介してますよ。↓

(過去ログ)
カセットコンロの点火装置の修理


家電の修理は人体とおなじだ(液晶モニターの修理)
液晶パネル(タッチパネル)の修理 (ボイラー制御盤)
液晶パネル(タッチパネル)の修理 (ボイラー制御盤)のつづき
これぞ六城ラヂウムMagic!治ります、治します!
現代の電子機器の問題点
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やっぱり発酵させたパンのほうがずっと旨い 
Sunday, October 18, 2015, 11:35 PM


最近は手軽にベーキングパウダーを小麦粉に放り込んで、パンもどきをつくってましたが、やっぱり強力粉+イーストでちゃんと発酵させてパンを焼きました。

シナモンを巻いてみました。やっぱりおいしい。

パン焼き機能のある炊飯器なので、お釜に入れて焼くとこんな形になりますが味はよいです。

過去ログ:薄力粉で簡単、発酵なしですぐ焼けるパン
寒いときは中華まんにかぎる
炊飯器でパンを焼く
まだまだ寒いのでホカホカあんまん
寒い日はあんまん・豚まんをつくってみる
パンぐらい自分で焼こうと思います
寒いので超簡単な蒸しパンはいかが
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今年の銀杏は出遅れて不作でした 
Sunday, October 18, 2015, 01:46 PM
10/17 曇 10時 浅草での空間線量は18ベクレル/立法メートル

先々週皇居を通りかかったら、歩道がすごく臭かったです。毎年の風景で、銀杏がたくさん落ちてそれが踏みつぶされるから。

ああもうこんな季節かと思い、銀杏拾いをしなくちゃなあと思いながらも、そんな気分になれずに過ごしていました。

昨日は天気がよくなったので午後に近所の待乳山聖天(まつちやましょうでん)で銀杏拾いに行ってみました。

境内が植木屋の手できれいに掃かれた後でした。残念。

まだ手入れがされていない場所で拾ってみましたが、この木はサクランボ程度の実しか落としません。
毎年拾っている大きい粒が落ちる参道脇の銀杏(いちょう)は掃かれたのか、もしくはすでに先客がおおかた拾い尽くされたあとでした。

しまった~出遅れた。

今年は厚手の作業用ゴム手袋で能率アップを図ったのですけども、20分程度で切り上げました。
集めるよりも果肉を取り除いて、しっかり水洗いをして干す作業が大変です。

ゴム手袋をしていないと、銀杏の渋(タンニン)で手がギトギトになります。剥いた果肉はできるだけ土に還して銀杏だけを持ち帰ります。

スーパーのビニール袋いっぱいだったのに、種だけにすると両手ですくえる程度でがっかりする量です。

果肉の渋(タンニン)は現代では需要はないそうですが、昔から柿渋は防水剤や木材の防腐剤、漆器の下塗り、酒造での沈殿剤、少量は下痢止めや降圧剤に用いられてきたのだとか。

東京にはたくさんの銀杏がそこらに植えられているので、なんか活用できれば邪険にされている銀杏は見直されるのではないでしょうか。

銀杏の実はみみずの大好物らしく、朽ちた銀杏の実の下に顔を出すみみずを何度か見ました。

ぎんなんの実はけっこういい肥料になるんじゃないのかな



持ち帰った銀杏の種は、外の水道でしっかり手袋をはめた手で洗います。果肉がついていると臭いからです。

ザルと桶でしっかり洗ったら、あとは数日外に放置しておくだけ。
乾いたら、封筒か古新聞でくるんで、電子レンジで1分ほど加熱してやれば、ポンポンはぜて殻が割れます。

あとは剥いて塩でも振って食べましょう。


過去ログ:銀杏は東京の冬の愉しみです
東京の特産品は銀杏です
東京の摩訶不思議パワースポット巡り
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ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 適菜収著 
Friday, October 16, 2015, 11:47 PM
10/16 雨 10時 浅草での空間線量は18ベクレル/立法メートル

肌寒いので引き籠もりです。せっかくなので朝から調べ物をしておりますが、気分転換で近所の書店に行ってみました。
今何が売れているのかは小さい本屋の方がわかりやすいですね。

新書コーナーは競争が激しく、毎週のように平積みが入れ替わります。
副島隆彦先生が絶賛していた”現代暴力論「あばれる力」を取り戻す”(栗原康著 角川新書 2015/8)がありました。

手に取ったのですが、ついついとなりの棚に目がいきました。
”ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒” (適菜収著 講談社α新書 2012)

タイトルにつられて手に取ると、ニーチェが100年前に警鐘を鳴らしていたことはそのまま現代の日本の病巣であることがこれでもかとつづられています。すかっと2時間程度で読めますから、通勤電車の行き帰りで十分でしょう。

ニーチェを理解する入門にはお勧めです



適菜収(てきなおさむ)という新進の哲学者は1975年生まれということはちょうど40歳です。副島隆彦先生が絶賛していた栗原康という研究者も36歳だから、論壇には新しい世代が来てますね。私もこの二人には注目したいと思います。

読みふけってしまったので、そのまま晩のおかずの買い物もそこそこに帰りました。早く帰って読みたいから。

B層政治家がB層を騙すニーチェの予言した大衆社会



冒頭は政治状況が小泉純一郎の出現から小沢一郎ら革命を掲げるポピュリストによるオツムが弱い者を踊らせるためにあると著者は断罪しています。

そして社会もB層を対象とした宣伝や報道が続き、B層への迎合エネルギーのスパイラル状況に陥っていると分析しています。

頭の弱い層が最大の勢力となった”大衆社会の最終形態”をニーチェは「終末人間の時代」と呼びました。

民主主義は危険なイデオロギーと喝破したニーチェ



青年期のニーチェはくだらない世の中の根源はジャン・ジャック・ルソー(1712~1778)が唱えた自然権(動物は生まれつき備わっている普遍的権利)であると見抜きました。衆愚の中に身を置く悲しさは「ツァラトゥストラはかく語りき」(1885)に結実しています。

聖人のツァラトゥストラ(ニーチェ自身の叫び)は山から下りて民衆に「超人」というものを教え諭します。ところが民衆(つまりB層そのもの)は民主主義や平等が大好きで、グローバリズムと隣人愛を唱えて、健康に気を配り、ささやかな快楽で満足するだけで、ツァラトゥストラを嘲笑するだけです。

その民衆(B層)は自分たちが、合理的で、理性的で、客観的なことに深く満足していたのです。これが終末の姿だとツァラトゥストラは嘆いて、もう大衆を相手にはしないと心に決めるというお話です。

キリスト教会は大衆を騙しているとニーチェは主張した



ニーチェは無神論者ではありません。むしろイエスを高く評価しています。ニーチェの攻撃対象はイエスの教えを歪めたキリスト教とそれを広める教会であるのです。イエスは終末論(人の世が終わり救世主が現れ神の世が来る)や三位一体とか神の子といった概念はイエスの教えとは関係ありません。

キリスト教の開祖である弟子のパウロが、イエスが嫌っていたことを崇めるようになったとニーチェは著書”反キリスト者”で指摘していきます。

キリスト教は社会的弱者の負のエネルギー、ルサンチマン(強者への恨みつらみ)と同情の力を利用したとニーチェは指摘しました。そして社会主義者とキリスト教信者の精神は同じ構造だとも言っています。

愚か者、無恥白痴であるほどキリスト教では選ばれし者である



キリスト教の本質は反知性主義です。そして民主主義運動とはキリスト教の活動の一環なのだとニーチェは語ります。

そしてその活動の本尊がルソーであるとニーチェは見抜いていたのです。

そのキリスト教というカルトに戦後はずっと浸食されているのが日本



いやはや、適菜氏のおっしゃるとおりです・・・。

さらにニーチェは辛辣です。ダメ人間たちが「神の前の平等」を武器にしてヨーロッパを支配していると述べています。善良で病弱で凡庸な(笑)人々(すわなち我々のことか)が

本来等しくない人々と等しいと言ったルソーの偽善が大問題



(転載はじめ)確固とした道徳思想と人権思想により、理性的に大量粛正を行ってきたのです。
アドルフ・ヒトラー(1889~1945)、ヨシフ・スターリン(1879~1953)、毛沢東(1893~1976)、ポルポト(1928~1998)といった民族の歴史から切り離され、超越的な理念により支えられた政体は必然的に恐怖政治にたどり着きます。歴史はそれを証明しています。(転載おわり)


キリスト教はプラトンが用いた詐欺手口を参考にした



ニーチェはプラトンを「高等詐欺」とこき下ろしました。物質界の背後には「イデア」という永遠不変の存在があると説きました。これを<カルト>キリスト教の創立者パウロは「不死の信仰」「地獄」「あの世」というキーワードで権力を握ることに気づいたのです。

理想社会を描き、現実社会を否定する手口は社会主義者や共産主義と共通です。

ニーチェは<真理>などなく、解釈が無限にあるだけと喝破します。つまり事実などは解釈次第でどうにでもなるということ。だから宗教が神の普遍性を説き、そこから派生したイデオロギーは無効であるとしたのです。

キリスト教会が生み出す信仰対象は、腐敗という結果しか導かないとニーチェは断言していたのです。日本はその通りになりましたね。

正しい格差社会が健全な社会構成なのです。幕末~戦前にかけてエリート(高級官僚)とインテリ(知識人)と大衆は育つ道が違っていたし、誰もそれで不満を覚えなかったのです。ホワイトカラーとブルーカラーは今や死語となりましたが、かつてはその区別はしっかりあったし、大多数がブルーカラー層であったので誰も不平等感はなかったのです。自分たちの基盤であるブルーカラーを大切に扱わねばならないことも、ホワイトカラーにとっては当然のことでした。

ところがキリスト教の唱える近代的理念「平等」はせっかくのピラミッドを崩して、誰もがこんなはずじゃという思いを抱いて過ごす世界にしてしまったのです。

吉本隆明はフーコーを絶賛しながらもなぜか楽天主義!?



左翼に担がれた吉本隆明(よしもとりゅうめい)はミッシェル・フーコー(1926~1984)を高く評価していましたし、「大衆」の定義を吉本隆明は記しています。

フーコーは大衆とは監獄の囚人のように常に監視対象となり、それが相互監視による同質化を無自覚に意識している者たちであるとしました。

過去ログ:変質したリベラリズムとパノプティコン化する国家
http://www.rokujo-radium.com/blog/index.php?entry=entry150908-115732

仮にもっと比喩を際どくして、知識人と大衆が1000人ぐらいいて、その中から何百人死ななければならないとなったら、少なくとも知識人が全部死んじゃった方がいいし、もし原子爆弾がどっかに落ちてだれかが死ななければいけないならば、まずはアメリカの指導者とソ連の指導者だけ死んでくれればいい、大衆はあまり死んでもらっちゃ困る。
(中略)
 戦争なんかの場合でも、大衆の罪責は免除される。なぜ、そう考えるのかと言うことについては、自分の中にあとからつくった論理みたいなものがあるのですが、論理の以前に完全に疑問の余地なく大衆には責任がいかないように全部免除されているような気がするのです。
(文中の転載からさらに転載)


大衆(B層)による政治などは一年交替の当番制で嫌々なって、大臣席で適当にボタンを押すようなものが理想であると述べたかと思えば、吉本本人に楽天主義によりB層が「まだまだ俺たち大衆はやれる」という意識をうまくくすぐっていたから、「ころっとB層は騙された」と適菜収氏は指摘しています。

副島隆彦曰く、吉本隆明は過激派の教祖様であった



そして(大衆に裏切られ見捨てられていった)敗北者であったのだと副島隆彦先生は評しています。

参考URL:http://www.snsi.jp/bbs/page/1/view/2576
[917]革命思想家 吉本隆明(よしもとりゅうめい)の死 に 際して 投稿者:副島隆彦 投稿日:2012-03-18 02:02:37


ニーチェの口撃はB層政治とB層市民に留まらない



キリスト教の常套手段であるルサンチマン(強者に対する嫉妬混じりの感情)と同情はそのままB層政治にも当てはまります。つまりわかりやすい敵を掲げて、不平不満を煽ること。教養のないタレントをB層への候補者として立てるのは言わずもがなです。

女性の解放運動は女性を自ら劣化させているとニーチェはこき下ろしています。
そして結果、子供の産めない<できそこないの>女が、女に本能的な憎悪を抱くようになると断言しているのです。

まさにその通りですね。日本にできそこないの女がこれだけはびこっちゃって、これからどうしたらいいのでしょうか。
政治はB層に侵されてますから、それははなから無理なことはわかります。

適菜収氏はニーチェ同様に<デモクラシー教><民主教>という宗教に反対する



ニーチェは『二千年の長きにわたってキリスト教徒であったことに対して、私たちが償いをしなければならない時代がやってくる』(権力への意志)と述べました。

適菜氏も、やがて<デモクラシー教><民主教>を信仰してきたことが最悪の結果であったということを思い知るだろうと締めくくっています。
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スポーツになった武道にはたいして興味はありませんけども 
Thursday, October 15, 2015, 12:41 PM
10/15 晴 10時 浅草での空間線量は20ベクレル/立法メートル

スポーツの秋ということで、気候もいいのでなんか身体を動かしてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
単なる散歩をウォーキングと称してぶらぶら歩いたり、流行につられて自転車に乗ってみたりする方もいます。
ただ、ぶらぶら歩きやちんたら自転車にまたがっていても、実際は筋肉や心肺機能の強化にはほとんど効果がないそうです。
気分転換ぐらいにしか効果がない。

体力をつけるためには競歩のような姿勢を20分以上、自転車では急坂を登る練習や荒れ地でバランスとる練習をしないと意味がないそうです。

私がおすすめするのは水泳です。1000m程度1時間程度泳げば体格も体力もすごくよくなります。
私の健康指南の師匠(60代)と久しぶりに会ったら、なんか若々しい・・・10歳は若返って見える。

これまでは頭部が薄くて疲れたサラリーマン風情のオヤジだったのに、ポロシャツ姿が妙にりりしいのです。
胸板も厚く、肩から両腕がたくましくて、あれっ、こんな人だったかなと目を疑いました。

後日電話でそんなことを伝えてみると、スイミングスクールに毎日通い始めたのだとか。
起きたらプールに直行して1000m(25mプール往復20本)、そうして仕事に向かうのだそうです。

ライザップよりもホテルのプールが高コストパフォーマンス



別に公営プールでもいいのですけども、公営は混雑がひどくてレーンが空いてないので私はあまり行きません。
都心ではねらい目はシティーホテルのプールです。規模は小さくてもガラガラなので、レーンを占有して泳げるので近くにあればおすすめです。

私は数年前からずっと自己流の体幹トレーニングを近くの公園でやることが日課です。
ラグビーの五郎丸歩選手ではありませんが、終わりにちょっとした儀式をやります。といってもお祈りをするわけでもなく、お行儀が悪いですが、鉄柵で綱渡りのまねごとをやります。子供たちがいる昼間はやりません、親に白い目で見られるから。

五郎丸歩選手のキック前のポーズは体幹の体軸をあわせるために行う必然の行動なのだそうです。
あれば体幹を意識していないと考えつかない行動で、形だけまねてもだめですね。

広島のエース前田健太(マエケン)投手がマウンド上で行うマエケン体操も有名ですね。

クレーバーな運動選手は各自で体調を測る方法を生み出している



一流選手はそれなりに創意工夫が必要であり、頭を使わない筋肉馬鹿はやはり馬鹿ということを、今度のラグビーワールドカップでもわかります。エディー・ジョーンズという名匠に出会ったからこその勝利です。

翻って日本の伝統的といわれる武術は、流派や亜流が乱立していましたが明治中頃から変貌していきます。
剣道なんて昔は二刀流もあり、構えも上段、中段、下段とさまざま。また要所急所に当てれば勝負ありというルールだったそうですが、面胴籠手(こて)突きの4カ所となったのは明治後期頃のようです。(今は危険な突きはやらないかもしれません。)

竹刀はどんどん軽くなって、たわみを使った条件反射ゲームのようです。本当なら真剣と同じ重量でやるべきでしょう。

本来の剣術とはかけ離れていったのが現代武道です。柔道もしかり、空手もしかり。
武道は生か死かの結果しかないのに、ポイント制ってなんなんだよと観る側はしらけてしまいます。

アンチオリンピックは西洋人でも多くいるようで、古武道教室は外国人に大人気という記事です。

過去ログ:現代武道はスポーツであるから実戦では役に立ちません
浅草は殺陣(たて)の町 居合いとは違う文化です
江戸の剣術道場を歩く
江戸時代の「目付」という役職は何をする役目なのか
坂本龍馬が北進一刀流の免許皆伝者なんて嘘っぱち



昨日、坂本龍馬の北進一刀流の免状があったという証拠が発見というニュースがありました。これを読んで、剣術の達人だというのは早合点です。

北進一刀流は一人の相手に数人で斬り込んでいく戦法で、一人一人が足や胴、首、背中を狙う実践的なもの。戦法の免許皆伝がすなわち竜馬が剣が立つとはとうてい思えませんが、歴史ファンはどうでもいいことかもしれません。

千葉周作はどうも龍馬を娘の佐那(さな)への婿入りを望んでいたらしく、それで娘たちが署名しただけの長刀の免許と国元へ帰る龍馬に兵法の免許皆伝もおまけに付けたのだと私は推測しています。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00050015-yom-ent
龍馬、やはり剣の達人…兵法皆伝の巻物実在記述
読売新聞 10月14日(水)9時31分配信


.中央部分に「北辰一刀流兵法皆伝」と書かれた預かり書の控え
 高知県立坂本龍馬記念館(高知市)が今年6月、北海道の坂本家の子孫から寄贈を受けた資料の中に、かつて剣術の「北辰一刀流兵法皆伝」の巻物が実在したとの記述があり、その後火災で失われたと説明していたことがわかった。

 幕末の志士・坂本龍馬については、「本当に剣の達人だったのか」と龍馬ファンらの間でしばしば疑問が投げかけられてきただけに、資料の記述は、この謎に迫るきっかけとなりそうだ。

 龍馬が愛用していた脇差しが86年ぶりに公開されることを発表した8日の記者会見で、同記念館が明らかにした。

 龍馬は1853~54年と、56~58年の2度、江戸の北辰一刀流・千葉定吉の道場で修行。「長刀(なぎなた)」の目録が残されているものの、剣術の目録や皆伝を示す記録は現存していない。護身用にピストルを持ち、近江屋では刺客に倒されたことなどもあって、「本当に剣術の達人だったのか」と指摘する見方も多い。

 今回、記述が見つかったのは、坂本家の子孫・坂本弥太郎が、1913年に北海道の小学校で開かれた「坂本龍馬遺品展」に出品するため、龍馬の養子・坂本直(高松太郎)の妻・留から借りた遺品の預かり書の控え。10年に「秘伝巻物」として、北辰一刀流の「兵法箇条目録」「兵法皆伝」「長刀兵法皆伝」を借りていたことが記録されている。

 さらに、29年に東京で開いた「土佐勤王志士遺墨展覧会」の出品目録控えには、「千葉周作より受けたる皆伝目録は全部焼失せり 於釧路市」、同様に坂本家が遺品の多くを現在の京都国立博物館に寄贈した際の「寄贈品目録控え」(1930年)にも、同様に「焼失せり」と、記載されていることが判明。いずれも弥太郎が記している。13年12月、北海道釧路市であった火事で坂本家も被災、遺品などが焼失していることから、この際に皆伝の巻物が失われたとみられる。

 坂本龍馬記念館の前田由紀枝学芸課長は「龍馬が剣術の達人だったことを疑われることも多かったが、本当に達人だったことの裏付けにつながる資料だ。武士の魂である刀と、同時に表に出たことも感慨深い」と話している。

 預かり書の控えは現在開催中の「坂本家・家族の絆」展で、今後公開される。(畑本明義)
最終更新:10月14日(水)9時32分

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